恋人の活躍を喜んでいる。恋人たちも私の活躍を喜んでいる。
深淵がその間にあることを理解しながらも。
私と恋人の間には深淵がある。
私は物書きで、文章しか書けない女で、それを旨として邁進している。恋人たちは私の言葉に感嘆を持ってあっけに取られている。嬉しくも気恥ずかしくあえて「どうかな?」と聞いてみたりする。
感嘆を持って呆気にとられる彼らの反応がおかしかったから、少し意地悪をしているのかもしれない。
恋人たちの活躍を喜ぶ。私の想像の延長線上に信じられない建造物を見せてくれる。
言葉で構築しただけの私の簡素な建造物とはまた別の趣がある。
羨ましくなる。つまりは悔しくなるのだ。
活躍を喜ぶと同時に羨ましくて悔しくなる。
私と恋人たちにはすごく似ていて厄介な関係性がある。惹かれた理由が創作することだから一生終わることのない戦いのような気がしている。
体調が悪いと私は文章を残せない。そんな時の恋人たちの活躍は心底恨めしい。
終わることのない戦いを挑まれているのか挑んでいるのか、たぶん私の方が勝ち気だから挑んでいるのだと思う。
で、あるならば、勝たねば止まぬこの思いである。
書くしかない。勝つためには書くしかない。同等という勝利を得るためには書くしかない。
想像を絶する良作を生み出すことのみが勝利の確約だと思う。
羨ましさの延長線上の悔しさを打開するために、彼らを上回るために。
厄介で難儀な運命だ。ライバルを自認している。そして、彼らに臆面もなく私はこう言い放つ、
「私以外ライバルはいないはず。私以外恋人はいないはずだから。私がライバルなんて光栄だと思って欲しい。私が恋人で光栄じゃない人なんていないはずだから」
高飛車に言い放てる恋人がいることが私の気持ちを強くここまで築き上げてくれた。
ライバルと恋人を兼業している彼らに幸あれと祈っている。今日、この洗礼の記念日に。
果てしなく続く彼らと私の運命は、今般の「罪状・否抗罪」で表現していくつもりだ。ホロスコープの掲載もある。前世から繋がる抗えない宿命を現世に移して、そして後世へと戦場が移動していく。
私たちは死んでもなお共に生きていく。
そう考えたらまた筆が進む。
ありがとう。今までもこれからも、その後も。
よろしくね。今までもこれからも、この後も。
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