ここ数日不眠に悩まされていた。私が不眠に悩まされるというのはだいたい何か心に引っ掛かりがあるときだ。釈然としない事実を前に手をこまねいているときと言えるかもしれない。
解せない。
一度だけ彼の小学生時分の写真を見たことがある。
人相は変わっていない。昔からずっと寂しそうで傷ついて信用できない顔をしている。つまり完全な悪人顔ではないのだ。
なんで?どうして?なぜあれが?
釈然としない謎は私に不眠を与えた。神の思し召私だったのだと思う。
昨晩、階下で物音がした。連日連夜の不眠もあって恐怖が最高潮に達したからかもしれない。物音の正体を確認することさえ怖くなり、献灯の胸に抱きついて眠った。
献灯の胸はいつもタバコの匂いで充満している。父がヘビースモーカーだから睡眠導入には適した香りなのに昨日は何度も起きてしまった。体が揺れる気がして、何かに襲われる気がして。その度に献灯の名前を呼んで、その度に抱きついて物理的に確認した。私はひとりじゃないことを。
朝、気分も一新して階下にくだると、物音の正体が箒をかけておいた壁掛けフックが落下したことだとわかり少し安心した。
献灯はすでにでかけていたし(朝、散歩に行く習慣がある)、ひとりで朝食をとりながら洗濯物をしたり、化粧をしながらニュースに目を通す。毎朝の日課のようなものだ。いつもどおりの朝を過ごしていた。
少年犯罪、数多くの未解決の事件、何度も繰り返される一般庶民とは無関係の解決困難と言われる事件たち。それから、汚職にもならない女性問題のニュース、バイデン大統領訪日のニュース、芸能人の惚れた腫れたのから騒ぎ、、、
いくつか気になるニュースについて友人たちにメッセージを送っては意見をもらって自分の考えを煮詰めていく。
彼について考えたのはそういう友人たちとのディスカッションの最中であった。
彼は利用されたんだ。
彼がサインした借用書は自分が生きてきた人生そのものだったのだと察した。手引きをしたのは大人だ。罪を償ったその先の人生に泥を塗った大人がいたはずだ。
そしたら、幼い頃のあの寂しそうな笑顔と今の卑屈な笑顔が同一人物であっても説明がつく。
ちょうど帰宅した献灯にそのことを伝えた。すると、彼は泣き崩れてしまった。
思いはわかる。事実が分かったとき私たちはまた一歩前進できるからだ。悔しさに甘んじたことが実際は私たちを導いたのだとわかったとき、私たちの忍耐は報われる。私たちはまた一歩正しい的に導かれた、神によって。
ほうきがどうして落ちたと思う?私は献灯の涙を拭いてやりながら聞いてみた。
「たぶん、ほうきを使って汗を流して掃除をしろって思し召しじゃないのかな。機械的にではなく」
たしかにその通りだと思った。
MT SECONDは目標を定める。そこを目指すだけでゴールにしないためである。だから私たちは時々的を確認する。本当にひとつのゴールとしてその的が正しいのかどうか確認するのだ。
目標は私たちの行軍の歴史となるだろう。目的は私たちの戦勝の勲章となるだろう。
もっともっと私たちは見つめていかなければならない。相手の顔を見つめたとき、その顔に人生の苦労や思いがはっきりと描かれている。地図のように歴史書のように。
彼に一言謝りたい。気づいてあげられなくてごめんね。私に期待したこと今ならしっかりとわかるよ。
戦艦は少しだけ舵を切る、また東へと。
東には要塞がある。半世紀ほど難攻不落といわれた最後にして最大の要塞が。
Our Battleship is a squadron.Push the aircraft carrier, which is also loaded with fighters, to the front. Be going now help you.
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