三人官女、お内裏さまをストーキングするの巻

真実はいつもひとつ!だけど、ストーカーは3人いる話


元取締役と久しぶりに話をしているとあることを思い出した。

「おまえのストーカーってひとりじゃないよな?」

私が献灯の後ろに隠れながら元取締役に言う。

どうも私はいまだにアレルギーがあって二人きりで話せない。献灯、もしくは祈祷の後ろに隠れながらでないと話すことができない。

「え?」

「3人いるんだよ、今も、たぶん、継続的に断続的に。おまえの職場で3人がバッティングすることもあるんじゃないのか?」


献灯と祈祷が目を見合わせる。

元取締役が「はて?」という顔をしたので、私は献灯の体にしがみついて、話を続ける。

「ほら、あの5月のあの時の、あっちのほうだよ」


元取締役が叫ぶ。Screaming MAD元取締役。

献灯が笑い転げる。倒れそうになるから私は自分の盾を盾として機能させるために倒れないように後ろからホールドする。

「いた!いたいた!!あれでしょ!なんだっけ、派手ブスとお局!!!」

祈祷も爆笑する。

「だめ!ちょっとまって腹痛い!!だめだめだめ!!!」

「派手ブス、お局、カワハギ、3人まとめてストーカー三人官女って私は名前つけた。お前はとりあえずお内裏さまだ。そんな高尚な役柄は嫌がると思うが」

元取締役が声をあげて笑う。こいつ大丈夫かというほど笑い転げている。

「バッティングしてるはずだよ、そこかしこで。たぶんこの間のゴールデンウィークのイベントでも」

「だめ、だめだめほんと!!腹痛い!面白すぎる!!!

「ちょっと、ちょっと待って!!共有、共有しよう!面白すぎる!!」

祈祷が出張中の奉祝に電話をかけ、献灯がかつてのLAY-RONたちとのグループラインに投下する。


「お前、次のイベントいつよ!?」

「えーっと、、、」

「私はペンテコステでバッティングすると思ってる。遠征すると思う、私たちのふるさとに、、、」

献灯のお腹をぷにぷにしながら私は声色をおさえて伝える。

「私のものよ!いや、私の元取締役なんだから!!やばっwこわっwちょっと椿、腹の肉つまむなよ」

献灯は行儀が悪いからいつぞやの動画で彼女たちのことを模倣した風刺作品を作ったことがあった。私のことを思うあまり行儀が悪いのは献灯と元取締役の一番似ているところだと思う。


「でも派手ブスさんは子どもいるんでしょ?子育てできてんの?SNSばっかりやってそうじゃね?」

祈祷がぽちぽち拡散しながら聞いてくる。

「お前さあ、ほんと、しょうもない似た女ばっかりにストーキングされるよな」

献灯がバカにしたように意地悪く笑い転げる。これでも元取締役のほうが年上なのだから献灯の強さみたいなものはすごいと思う。私はここまで面と向かって言える根性がない。


名探偵コナンの「真実はいつもひとつ!」は、元取締役の恋愛を表現している。

「真実はいつも椿ちゃんだけ」。

私は元取締役を見ていると嫌いな気持ちが溢れてくる。そのくせ好きだと言わないと腹が立って精神錯乱を起こしてしまう。


私たちの関係は始まることも終わることもない。嫌い合うことはあっても別れることはない。好きだと言えと求めても互いに与えることはない。

相性は最悪。でも最初に出会ったあの日から惹かれている。地球を動かしてしまうほどに。

NOVEL OFFICE MT SECOND

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