讃美歌を歌い始めると、かつての「同期」や「同僚」たちが笑っている。同じように、祝詞をあげる同期や同僚たちを俺は笑う。何か怪しい商売でも思いついたの?と冗談になるのがまだ俺たち仲間内だけだということを少し気にしているのは、友達の奥さんだった。
俺たちの社会的地位が奪われて以来、あの奥さんはいつも普通とはという哲学的なことを考えている。普通とは?人権とは?貧困とは?
若いんだからもっと浮気とか不倫とかすればいいって笑い飛ばす俺たちに対して真剣な面持ちで真正面から正論で対峙する。
娘もそういう気性があって、そのためか時々学校でいじめられるとあいつは悩んでいた。俺たちの噂が出ないようにと祈っている。血筋は決して罪ではない。聖書が掲げる聖なる家族は血筋の正当性を否定する側面も俺はあると感じている。
【DEAD SCREENING著:FOOT PRINT】
シングルマザーのこの人は俺の中ではとても誠実に見えた。子供のために時に自分を説き伏せて悪者になって、ディズニープリンセスに憧れる娘たちのためにヴィランを好んで演じてくれるような母親の鏡のような人だと思う。
日本の母親というものにも俺は少し興味を持ち始めた。
この人といっしょに子どもたちと過ごすことは俺の癒しでもあった。子どもはいい。俺の目の色についてすぐに質問をしてきてくれる。「なんで青いの?」「なんでだと思う?」
俺が聞くと眉間に皺を寄せて考え始める。塾考という言葉そのものの苦悶の表情の後に彼女は言った、「空ばっかり見てたから、うつっちゃったの?」
そういうことにしておこう。答えなんて俺も知らない。
極東首都にはこういう子どもがきちんといるのになあと、頭の片隅でまた疑問を抱きながら。
【DEAD SCREENING著:極東首都エネルギー探訪記録】
5/1New Release, shall we check it?;)
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