レーサー【芍薬 椿】

私が泣くと喜ぶ一定数のブスがいる。私の恋人たちにふられた連中だ。

それなのに、私の恋人たちが泣くようにと手を尽くす私に振られた他人たちのほうが私を泣かせていることを知ってしまった。世の中は似たもの同士が夫婦になったりカップルになるのだなあと思う。私に振られた連中と私の恋人たちに振られた連中がくっついてくれたら丸く治るのになあとよく思うが、あの連中は自分達の立ち位置を理解していないから無駄な努力を金と労力をかけて繰り返す。

私を泣かせた一定数のブスについて私はいまだに泣かされている。

恋人たちはその度に笑っているけれど、私にとっては笑い事ではない。

恋人たちの仕事を邪魔する私に振られた定数の連中に対して恋人たちは腹をたてるが、私は一瞬にして脳天をぶち抜いてしまう。コンマ0秒の話で、ショットガンだけで片付けてしまう。

脳内にある計算機は自分のこととなるとバグを起こしてしまう。

いつものことだと思う。


小説を書いている時が幸せだし、恋人の胸で眠っている時が何よりも幸せだ。

だからこの街に定数のブスと私に振られたさもしい連中が暮らしているだけで私は毎晩嘔吐を繰り返している。嫌な匂いがするからすぐにわかる。ドブのような、生乾きの洗濯物のような、とにかく不愉快な匂いをまとってこの街を歩いている。公害だと私は恋人たちに文句を言う。

「なんとかしてよ、臭くてロマンチックになれない。赤潮みたいに嫌な匂いがする」。


冗談だと恋人たちは笑っている。私が言うことは冗談じゃない。単純な言葉を使う時、その内側にいくつもの要素を盛り込んでいる。言葉を簡素化することでいくつもの意味を含ませているのだ。

言葉選びは慎重にならざるを得ない。意味が重複するようにあえて単純な言葉を使っている。決して言葉を知らないわけではない。しかし、一面的な部分しか見ることができない連中には私が浅はかな低学歴のバカに見えるらしい。

確かに私は低学歴のバカである自覚がある。しかし、自覚があるからこそ向上心を抱き続けているし、他人を泣かせるような稚拙な思考に陥らずに済んでいるのだと思う。


高学歴には大きな落とし穴がある。失敗の体験がないことだ。

成功体験が足枷になることは学校では絶対に教えてくれない。

かたや、低学歴の人々は失敗の体験をたくさんしているから足枷がない。学校では教えてくれないこのことを社会に出て痛みを持って早い段階から勝ち得ている。

人生は死ぬまでがレースである。どんなにベストタイムを一周目で叩き出してみても、ゴールのタイムで競うのがF1だろう。コース取りのために予選で良いタイムを目指すわけで、これが人生で言えば学歴に相当する。

位置取りで満足している高学歴たちはなんとか意地悪をして後続からの進出を阻止しようとする。これが職権濫用であるが、私はここに目をつけている。

レースは終わっていないし、私が勝てない理由にはならない。

嫌な煽りをしてもいいだろう、言葉は私にとって最大の武器である。

このブログで腹を立てるブスがいるように、私は後方から嫌な煽りをする。なお、道路交通法は文章の中では正直であれという以外存在しないから正直であれば犯罪にはならない。フェイクニュースは書くなという意味である。

ゴールを目指して諦めないものが勝者となる。予選で呑気になっている高学歴に対して後方が一丸となって潰しにかかることもルールのうちであればそれもまた良い作戦だと思う。

指揮官は誰か?たとえオーナーであってもレースをしているのは選手であることを私は忘れないようにしたい。現場では少々怒られることを覚悟すればなんでもできるのだから。


私はファイターでありアタッカーであり続けたい。

レーサーであるならば一番を狙いに行く。自分が定めた目標が不確かでも私には信じる力が備わっている。

諦めるな、たとえオーナーに怒られても試合をして何を勝ち得たいかをよく吟味しよう。わたしたちは何者か?前線でハンドルを握り戦うレーサーであることを今一度自覚しよう。

公道でレースごっこをしている弱虫になど成り下がるな。誇り高いレーサーとなろう。


NOVEL OFFICE MT SECOND

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