出会いは5年前、だったらしい。私は知らない、本当に。
彼が私と出会うはずだったのが5年前。私の妹とその恋人に紹介してもらう手筈だったらしい。一目惚れだったとめずらしく恥ずかしそうにしている彼が教えてくれた。一目惚れにしてもよくもまあ5年も待ち続けたと思う。照れ隠しに憎まれ口をたたく彼「無理してたよね、ずっと。なんか、痛々しかったよ」。心底嬉しそうな顔にこちらが照れてしまう。
なんともはや、、、
私はその時、元夫と付き合っていたし、されとてそんなことをいちいち妹に話したりもしないから、私と彼が出会う直前に東京に出てきてしまったことはまさに向こう三人にとっては晴天の霹靂であったのだろう。
私と妹には家がある、妹とはSNSで繋がっていたわけでもないけれど同じ家があるからなんとか情報は漏れ伝わっていたみたいだが、私は2018年に結婚してしまった。彼はその時落ち込んだというよりも、こう思ったそうだ、「一歩ずつ、ここからだ」と。
私は根っからSNSみたいなものが苦手だったからしばらく彼にとっては消息不明だった。彼は自分を私に知らせる必要があった。ライオンキングが好きだとか、紅の豚だとか、マクドナルドだとか、東京だとか、小説だとか、オペラだとか、カレーだとか、恵だとか。。。でも、私がビーズが好きだということは何よりもわかりやすかったのに、そこは男の意地みたいなものがあったのだろう。
2019年になって人付き合いが増えて私はフェイスブックを楽しむようになった。ネットの世界で私を見つけた彼は喜んだそうだ。なんとかなると。
2020年、私は離婚した。しかしその時、私はまだ彼を知らなかった。存在としては知っていたものの、5年前から私を追いかけていたことなど想像もしなかった。友人同士でそんな存在がいるらしいくらいの認知であったから、まさか5年の歳月をかけてここまで到達したなんて思わなかった。
一瞬、崩壊した妹と恋人の縁をつないだ2021年のクリスマス。妹の恋人は泣いていたが彼は何も言わなかった。何も言えないほどの感動があったのだそうだ。
3年前妹と恋人の縁をよくわからない女に壊されていることに対して言及した彼の思いがよくわかる。私につながる梯子をはずされてしまったからだ。ちなみに妹は恋人との関係を外側から私利私欲によって壊されてしまい、心労から脳の病気を誘発してしまった。将来有望だった彼女の病床を家族全員が悔しがった、もちろん私も。
私利私欲のために男女の繊細な関係を破壊されると心労から取り返しのつかない事態に発展してしまうこともあること、これはひとつわかって欲しいと思っている。
「ブスの勘違い」と「妄想の延長線上に現実を据えること」をやめて欲しいと言い続けているのは、妹が生死を彷徨って私たちが悔しい思いをしたからである。
女性との噂もそれなりにあった彼は今笑って言う、
「そりゃどこへでも顔を出したよ。悪いけど、めぐの手がかり見つけるためにあらゆることしたんだよ?俺」。
「お誕生日も?」
私が拗ねて後ろを向くと、悪戯な笑い声を立てて嬉しそうにバックハグをして耳元で囁いた、「もちろん!!めぐのためならなんでもしたって今言ったじゃん。お耳ついているんですか?」
私の耳を甘噛みする彼は年下なのだろうかと嫌になりかける。タバコの匂いもなんだか大人に感じてしまうと言うと「真面目すぎるんだよ」と今度は真面目腐った声で私をさらに強く抱きしめた。
なんでそんなに?と思っている。
すべてが私に向かい続けた5年はどんな想いだったのだろうか。
「めぐに見つけてもらうために俺はがむしゃらに頑張ったんだ。30歳までに決着がつかなかったら諦めるつもりだった。ね?だから滑り込みセーフw俺、やっぱり持ってるわ」
彼のことを知るようになって自分も彼にのめり込んでいる自覚がある。間違いなく、同じ感覚を持っていると確信している。愛していると何度言ったかわからないのに、全然足りないと感じている。もっともっと言いたいし、言わなければという使命感さえ持っている。
この話も本当は私小説にしようと思っていた。
それなのに彼が甘えて言うから、「俺たちの軌跡は世界中に広まって欲しい」。
だからブログに書くことにした。
四柱推命によると私の初婚は離婚するような運命だったらしい。そんなことを話したら、彼は心底嬉しそうな顔をした。これから私は彼の笑顔を守っていきたいと思った。
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