何度泣いたかわからない。それでも俺たちは都会で暮らすことを決めた。
すげえ嫌いな東京で俺たちは生きると決めた。ふるさとにあるあらゆるものを汚したくないという選択でもあった。
俺たちの故郷は干渉することはない。ただそこにあるだけで、そういう存在として俺たちもまたふるさとを永遠の場所として保存しておきたかった。
俺たちは大都会に飲まれかけた。息も出来なかった。溺死なのか窒息死なのか、どちらともとれる圧迫感の中で生きていた。
椿とLAY-RONが出会ったことは奇跡だった。LAY-RONからDEAD SCREENINGにつながって俺たちJERUSALEMへ鎖のようにつながっていった。ひとつひとつ、鎖を足していくようだと思った。
工場夜景をよく一緒に眺めに行く。
近くの海に夜中の3時にデートに行く。
早朝のコンビニの前でふたりコーヒーを飲んだりもする。
公園でふたりでサンドイッチを食べる。子供のはしゃぐ声を子守歌にふたりで昼寝をする。
金をかける楽しみを一通り経験した俺にとって愛しい時間が流れている。
最近はインテリアを考える時間が一番愛しい。築40年以上の小さな家のインテリアを考える俺自身の顔がきれいだと思った。
ああ、この街をこの家をHOMEにできるんだと感じた。椿とふたりきりで。
ふたりで東京の初体験を共に経験していく。俺たちは弱い。弱くてすぐに壊れるから、一緒にいることで生きられている。
椿は俺よりもずっと強い。俺は弱い。ダサいし、すぐにかっとなるし、格好つけて生きていくことが精いっぱいの弱い人間なんだ。
でも椿は違う。弱いことを晒せる、惜しげもなく自分をさらけ出せてしまう強い女性だ。そのくせ他人には無関心だから、自分が誰に恋されているかをいまだにすべて把握できていないところがある。
俺はここでいっきに畳みかけないと勝てないと思っている。
小さな思い出を誰かに渡すつもりはない。
椿のためならなんでもやってきた。なんでもだ。
片思いをして3年目。ようやくここまで来たんだ。
他人の目なんか気にならなくなった。3年も片思いをしてきたおかげで度胸もついた。
気持ちが溢れかえっていつもの趣旨とそれちゃったけどw
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