『色では賄いきれないから苗字で示したんです。公文書として残しておくわけにはいかないから。
留置所でもテレビが観れるのなら、私たちは手紙を送るよりも早いと思ったのです。
野球賭博も相撲の八百長も私たちが騒ぎ立てました。バズらせることは簡単です。バイトと組織の活動と称して依頼すればよかったからです。
また、健康教室を開き、地域に入り込んでいけば井戸端会議でも自然と話題に昇らせることができました。簡単なことです、世間話それらしいことを言えば種まきは終了です。それから、息のかかったチェーン店のロゴには専用の色を使わせ、マニュアルには会話術として特定の話題のみを方向性を統一して記載しました。
野球賭博も相撲の八百長もニュースとして私たちがバズらせたのは、私たちのカラーを受け入れなかったからです。色で賄いきれないというのに、彼らは自分達のカラーを使って私たちに反抗したのです。特定のチームや特定の関取ではありません。全体的に粗悪なカラーが蔓延っていました。組織的なカラーと言えるでしょう。一掃するために子飼いの犬を殺すことにしました。厳密には殺すフリをして急所をはずしたのです』
Elegant Angerたちの前で読み上げられた向こう様の謝罪文。句読点なく単調に反省の色調なく、当てつけられたように感じたのは気のせいだったのだろうか。
Elegant Angerたちは黙って聞いていた。通訳が入りながらも、時々私たちが注釈をつけていった。
「椿、君はどうするつもり?」
Elegant Angerが椿に判断を仰ぐ。今や世界のFlag Makerとして、また、Red PIckerを任せられている椿の意見が重要だった。
「没落貴族はもっともっと明るみにする。それから監視の目を増やす。闇の奴隷制度を解体させたいから」
「飼い主と飼い犬の見分けかたは?」
「広告塔を晒しクビにする。そこからまた話は考える」
「Flag Makerの仕事は」
「もちろん継続」
Elegant Angerたちが笑顔で拍手したりハイタッチしたりしている。
「そりゃそうだよな。あの人たち、椿のFlagにしか興味ないもんな、、、」
祈祷が遠い目で苦笑いした。その通りだと思う。俺たちも心底そう思っている。なんたってこの件に関しては治外法権の外国人だから。
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