互いの作品を、夜中、秘密の時間に食い合っている。
お互いに自分の全てを出し切った作品を披露しては互いに食いあっている。
文章や音楽やダンス、その他すべてのアーティスティックな自我表現を用いて。
JERUSALEMと芍薬椿の遊びである。
芍薬椿はいう、
「JERUSALEMの真似をしたってJERUSALEMに叶うはずがないじゃない。一発で見破れる」
高笑いはJERUSALEMを盲信し、心酔かつ狂酔し、尊敬している。ある種の狂乱快楽だと芍薬椿は笑う。笑いの中にその他大勢の男性との差別化を見せつける。
「他の男に嫌われたって構わない。JERUSALEMにかなう人がいないってことこれからも言い続けるし、見せつけてやる」。
特定多数のJERUSALEMは芍薬椿に影響を与える、クリエイターたちだ。
完全なる差別を下地にJERUSALEMたちは世界に名を馳せていく。
日本だけではなく、東アジアやアメリカからも。
芍薬椿を評して女性は「鬼女」だと忌み嫌う。
芍薬椿を評して男性は「淫魔」だとせせら笑う。
身内の意識が強い芍薬椿は意に介さない。私を愛してくれる人はもともと少ないのだから、と。
狂乱に迷い込める深夜、彼女の体は浮遊し自分に帰っていく。
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