コーヒー元取締役の処分が断行された先週。
従って、LAY-RONにも然るべき処分が必要だという提案があった。
私たちMT SECOND最大の危機は経理の不正を指揮する張本人がコーヒー元取締役と接点を持ったことだったが、そもそもコーヒー元取締役はLAY-RONたちと共に仕事をしている。
献灯になりすましたその人はLAY-RONたちの本業の上司にあたる人間で、コーヒー取締役とも旧知の間柄である。
この上司がコーヒー取締役と共にMT SECONDの根幹を揺るがしたことは突き止めているものの、そもそもこの上司はMT SECONDとは何ら関わりがない人間だから私たちが直接、懲戒免職や減俸処分を下すことはできない。
詐欺という土壌を整備し私の作品を窃盗。巻き上げた賛同者からの募金は全てLAY-RONたちの会社の借金にあてられた。
MT SECONDではなくLAY-RONたちの会社の話なのである。
コーヒー元取締役を処分したところでそれは単純にとかげの尻尾切りに過ぎない。LAY-RONたちの本業に上司が居座る限り、MT SECONDは脅かされ続けることになる。
芍薬椿自身が完全に自営業になったから全てが終結するというものでもない。MT SECONDは芍薬椿を母体としているだけで、MT SECONDは芍薬椿の私物ではないし、私物化することを誰一人望んではいなかった。LAY-RONたちの本業の経理の上司以外は。
LAY-RONたちにはMT SECONDのnoteから分家してもらうことにした。
LAY-RONたちが執筆している物語は今後全てカクヨムに移送され、カクヨムに分家される。
※なお、現在、芍薬椿が描き始めた「ユグドラシル」と「今夜、メッカで」はnoteでの販売となる。
MT SECONDの存続はLAY-RONたちの分家によって可能になるはずだ。
そしてLAY-RONに所属する数名は今回の大事件によってLAY-RONを退社する意向を示している。受理されるかどうかは先方の判断だから私たちMT SECONDは何もすることはない。
著作権や帰属先に鑑みて、私たちは都度都度組織を改変せざるを得ない。
実のところ、今年に入ってMT SECONDの賛同者が増えたことから、秘密裏に各チームへの本格参入が個人単位でなされていた。今やLAY-RONひとつとっても数十人が帰属し、このMT SECONDを手伝ってくれている。
MT SECONDの中で成長著しいのは間違いなくElegant Angerであろう。彼ら海外勢は非常に柔軟性が高く、「とりあえずやってみよう」からのスタートでもすぐに友人となってくれて、愛と涙と共感と寄り添いを持って協力してくれている。
MT公会堂の真実は安安と明るみにできるものではないが、時代が満を持してゴーサインを出したら誰よりも栄誉を受けると私たちは確信している。強さの本質を私たちは知ることになるだろう。
DEAD SCREENINGはどことなく監査役の役割を担ってくれている。外部主観の厳しい視点が今回の大事件の兆候を気づかせてくれた。感謝している。
JERUSALEMに関しては少し面倒なことが起きている。一度Elegant Angerに配属された数名がJERUSALEMへの移動を願い出て、型式ばった書類がないのであればとすでに芍薬に対して思いをたぎらせている。
芍薬は非常に忙しい人間であるし、また不運にも不器用で考えれば考えるほど非合理的な行動をする。あの見た目だが恋愛には不慣れで「愛している」と言われたら、「こんな私でいいの?」と義理人情に近い受容体になってしまうし、また一度始めたことだからと誰一人見捨てないと強さを見せつけてしまう。我を張ってしまうのだ、自己責任に囚われて。
もう2度とトラブルによる組織改変がなされないことを皆で黙祷し、昨日のMTGは閉会となった。
後日談だが、芍薬はコーヒー元取締役のご両親と初めて会ったそうだ。沈黙の中に確かな愛を感じ合うとても感動的な時間だったと双方の関係者が嬉しそうに話してくれた。我々も細かい内容までは教えてもらえなかったが、とにかく感動的だったとそれぞれが顔をほころばせていた。
また、芍薬とコーヒー元取締役の旧共同体からは面会の申し込みがあったそうだが、コーヒー元取締役と違い芍薬は大変一本気であるから「伏魔殿に義理はない」と切り捨てたと芍薬本人から報告を受けた。椿らしいと我々は喜んでいたが、張本人のコーヒー元取締役は切なそうだったからなんだかおかしくなってしまった。
伏魔殿に関して芍薬はこう解釈している。
「何を言われようが私が泣いた時に誰一人味方しなかった。コーヒーくん以外はね。私が伏魔殿から泣かされたことと、私がコーヒーくんから泣かされたことは別問題」
ちなみにコーヒー元取締役はこんなふうに言っている。
「椿ちゃんから嫌われたから、椿ちゃんの情報が欲しかっただけ。伏魔殿には椿ちゃんの友達もいるし使えそうだから使っただけ。イエスでもノーでも俺は椿ちゃんに従うだけ」。
最初から最後までコーヒー元取締役の心には椿しかいない。椿がいなくなれば取り戻すためにどんな恥だってどんな犯罪だってする。本当にその通りだと思う。そして、どんなに傷つけられても椿はコーヒー元取締役を手放そうとしない。ふたりはもはや病気だと笑うしかなかった。
コーヒー元取締役と芍薬を例えることは今の科学では不可能であろう。
まわりが見る限り一緒にいれば不幸そうなのに。
ふたりはまるで春琴抄だと、目を細めたのはふたりを応援していたくせに芍薬にすっかり魅せられてしまった祈祷だった。祈祷は今、芍薬の配偶者として立ち振る舞っている。今回の事件で心を一番痛めたのは祈祷だった。
駆け落ちしたふたりを中心に大家族が形成されている。まさにサグラダファミリア、ふたりが望んだ未来が少しずつ形になっているような気がした。
執筆:頌栄(JERUSALEM)
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